ヘンププロテインのアミノ酸スコアについて

会社としてヘンプ食品を扱ってはや10年、HEMPSブランドの展開を始めて4年、様々な方にヘンプ食品をご利用いただくようになりました。
ここ最近、ヘンププロテインの「アミノ酸スコア」はいくつですか?というようなご質問をいただくことが増えてきましたので、今回はアミノ酸スコアとその考え方についてご紹介したいと思います。

ヘンププロテインのアミノ酸スコアを検証

今回、アミノ酸組成の検査データ(ユーロフィン調べ)をもとに、ヘンププロテインのアミノ酸スコアを算出しました。その結果、ほとんどすべてのアミノ酸はスコア100を大幅に超えていますが、リジン(リシン)が制限アミノ酸となり、アミノ酸スコアは85となります。

アミノ酸 アミノ酸表点パターン ヘンププロテイン
アミノ酸含有量
(mg/100g)
アミノ酸組成による
タンパク質1g当たり(mg)
アミノ酸スコア
ヒスチジン 15 1300 26.63934426 177.5
イソロイシン 30 1840 37.70491803 125.6
ロイシン 59 3150 64.54918033 109.4
リジン 45 1880 38.52459016 85.6
メチオニン(合計含硫アミノ酸) 22 1620 33.19672131 150.8
フェニルアラニン(合計芳香族アミノ酸) 38 3620 74.18032787 195.2
トレオニン 23 1690 34.63114754 150.5
トリプトファン 6 610 12.5 208.3
バリン 39 2330 47.74590164 122.4

そもそもアミノ酸スコアとは?その意義と限界?

アミノ酸スコアは、食品に含まれるタンパク質の質を評価する指標の一つです。特定の食品中の各必須アミノ酸の量を、人体が必要とする基準(通常は人間の必須アミノ酸必要量)と比較して算出します。スコアは0から100の範囲で表され、100に近いほどアミノ酸バランスが良いとされます。

制限アミノ酸とは?
必須アミノ酸の中で最も不足しているものを指し、これが食品全体のアミノ酸スコアを決定します。例えば、ヘンプシードを含む種実類(穀物・シード・ナッツ類)はリジンの含有量が少ない傾向があり、アミノ酸スコアが低くなりがちです。一方、大豆製品、肉類、乳製品、卵、魚類はリジンが豊富で、アミノ酸スコアが100に近いものが多いです。

アミノ酸スコアの落とし穴
この指標は各食品に含まれるアミノ酸の割合(バランス)を示す概念で、タンパク質やアミノ酸の総含有量は考慮されていません。そのため、タンパク質含有量が非常に少ない野菜(例:アスパラガス)でもアミノ酸スコアが100となることがあります。アスパラガスを約5本=100gを食べた場合、アミノ酸スコアは100ですが、摂取できるタンパク質の総量はわずか2.6g程度となっております。

アミノ酸スコアが100以下のヘンププロテインは意味がない?
アミノ酸スコアが100未満の食品は摂取しても意味がないのでしょうか?答えは「いいえ」です。また、「アミノ酸スコア100の食品以外では体内でタンパク質が合成されない」「一度の食事ですべての必須アミノ酸を揃えなければならない」というのも誤解です。

アミノ酸プールと体内でのアミノ酸の再利用

アミノ酸プールとは、体内に存在する自由に利用可能なアミノ酸の総量を指します。食事から摂取したアミノ酸や、体内のタンパク質(筋肉など)の分解によって得られたアミノ酸がこのプールを形成し、さまざまな生理機能に利用されます。

そのため、一度の食事で特定の必須アミノ酸が不足しても、体内のプールから補うことが可能です。つまり、一日の食事全体でアミノ酸バランスを整えれば問題ないと考えられています。

(参考論文:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6893534/ )

言い換えれば、ヘンププロテインでリジンがやや少ないとしても、体内に蓄積されたリジンや筋肉・血液中のリジンが再利用されるため、大きな問題にはなりません。また、前後の食事でリジンを多く含む食品を摂取すれば、さらにアミノ酸のバランスを補えます。

ヘンププロテインを選ぶメリット

ヘンププロテインにおける制限アミノ酸であるリジンについては、一日のいずれかの食事で大豆製品、肉類、乳製品、卵、魚類などを摂取することで比較的簡単に補えます。 (※リジン(リシン)を多く含む食品は、食品成分データベースのランキングでの一覧をご参考ください。https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html )

一方で、ヘンププロテインはミネラル(鉄、銅、亜鉛、マグネシウム)や食物繊維が豊富で、偏った食事では不足しがちな栄養素を手軽に摂取できるという大きなメリットがあります。これは、80〜100%近くまで精製されたホエイプロテインやソイプロテインにはない、ヘンププロテインならではの特筆すべきポイントです。

健康維持や美容を意識する方にとって、ヘンププロテインは非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。