
8月 23日 The POW BAR&Co×HEMPS プロテインブラウニー 商品開発の舞台裏

ナチュラルエナジーバーのPOW BARは、“食べることは生きること”という理念のもと、食べることを通して人と地球の美しい未来を考えながら展開しているブランドです。
HEMPSはその理念に共鳴し、今回のコラボレーションが決定しました。そのコラボレーションの裏側について、POW BARの創業者であり、すべてのレシピを担当しているメグミさんとHEMPSブランドディレクターの那奈の対談をお届けします。
ヘンプフードは文化的背景も、栄養素もすばらしい

約2年前の『NEW ENERGY』で、POW BARさんの出展ブースを見つけてお声がけさせていただいたところからコラボレーションの話が始まりました。

実は、お声がけいただいた時にはヘンプフードを使用したエナジーバーを開発しようと考えていたところで、ヘンププロテインについて調べていました。ソイプロテインやピープロテインなど、植物性のプロテインはさまざまありますが、ヘンププロテインは約50%がタンパク質。さらに、アミノ酸やミネラルなどの栄養素も豊富ですし、アレルギー反応が出にくいという点も魅力的です。
植物としても日本文化に根付いていますし、サステナビリティがあることもすばらしいと感じていたので、お声がけいただいた時には、「絶対ヘンプがいい!」と決めていました。

HEMPとしても魅力を感じているところなので、そう言っていただけて嬉しいです!エナジーバーは数年前からいろいろ出てきていますが、POW BARさんは本当においしいですし、価格帯にも企業努力を感じます。ブランド設立のきっかけを教えてください。

POW BARという名前になったのは2019年なのですが、2017年からエナジーバーを作り始めました。きっかけはいくつかあるなかで印象的なこととしては、大学生の頃に婦人科検診に行った時、医師から「いつも何を食べてる?菓子パンばかり食べてるでしょう」と言われたことがあります。病院の先生がそういうことを言うのは珍しいと思う一方で、身体にはよくないのかなと思って、その頃から食べ物について調べるようになりました。
大学卒業後はアウトドア会社で働いていて、当時からハイキングやスキーによく行っていたのですが、自然の中で遊んでいるのに、甘いチョコレートバーや菓子パン、添加物や砂糖が沢山入ったエナジーバーを食べていると、不調を感じることが多くありました。
自分の身体に合う食事が大事


メグミさん自身の違和感から始まっているのですね。

はい。自然の中にいるのに、不調を感じたり、元気が出なかったり、なんでだろうと。補給食や行動食について調べながら、自分の身体に合うのはなんだろうということや、自然な食べ物でパフォーマンスを安定させることができないかなと考え、いろいろ試すようになりました。
ハイキングなどに行く時、ナッツやドライフルーツ、干し昆布、レモンや梅干しなどを持っていってみたのですが、「これは咀嚼が多く食べにくい」「塩分がないと食が進まない」「運動している時にはこの味は合わないかも」と思うこともありましたし、溶ける食品は持ち運びに向かないことがわかっていきました。いろいろ試していくなかで、エナジーバーやエナジーボール、トレイルミックスを作って持って行くこともあり、それがPOW BARにつながっています。

今ではスーパーやコンビニで見かけるほど、エナジーバーは身近になっています。ただ、エナジーバーにはナチュラル、身体いいなどのイメージがあると思うのですが、原材料表を確認すると添加物が使われているものもありますよね。と言いつつも、ナチュラルにこだわるとどうしても高価格になってしまう。自分にとってちょうどいいエナジーバーを見つける難しさを感じています。
POW BARさんは、ナチュラルに作られているのに価格がお手頃。そして、おいしいです。さまざまな企業努力を感じるのですが、どんなことを大切にしながら商品開発を進めていますか?

ブランドを作った時、アクティブに過ごしたいのに、食べているものでアクティブに過ごせなくなっている人たちがたくさんいることに気がつきました。私もそうでしたし、同じように感じている人たちも、潜在的に困っている人たちもいると思います。それはなぜかと考えて、「きちんと考えて食べるものを選んでいないからだ」と、ひとつの解に辿り着きました。
これだけ食べていれば健康でいられるということはないと思っているので、まずは自分の身体を知ることからだと。現代人は自分の身体に対しての気づきが欠けているように感じているので、商品開発をするうえでは「エナジーバーがそのきっかけになってくれたら嬉しい」という気持ちが根底にあります。

食と健康の結びつき、身体に対しての気づきはHEMPSも大切にしています。ですが、自分の身体を知るということや、身体に対しての気づきについて、教えてもらう機会はほとんどないように思います。

そう思います。心と身体の成長にとって食べ物はとても大事。私は大学生の時にお医者さんから言われたことで気がつきましたが、なかなか知る機会がない現状を踏まえると、自分で考えて何を食べるかを決められるようになることが大切だと思います。
パッケージがかわいい、誰々とコラボしている、おいしいからなど、購入する理由はいろいろあると思いますが、その中で、「カラダに優しい原材料で、こんなに美味しいパッケージフードもあるんだ」と気づいてくれたら嬉しいです。
日本全体の食への意識がいい方向に向くためには時間はかかると思います。私たちの取り組みは小さな一歩ではありますが、エナジーバーをひとつのツールとして、私たちの理念である“食べることは生きること”を伝えていきたいです。


理念をはじめとした想いはもの作りに反映されていると思いますが、こだわりを教えてください。

もの作りの視点からも、こだわりはいろいろあります。まず、絶対に添加物や保存料などは入れません。添加物を入れずに作ると、例えば、パッケージングした後に食品が持っている酵母菌が発酵してパッケージがパンパンに膨らんでしまうことがあります。そういう時でも添加物を使わずにどう解決できるかということを考えます。実際にそういうことが起きたのですが、その時は要因となった原材料をオーブンでローストすること。そして専用工場内で窒素ガスを封入することで解決できました。工程がひとつ増えることで大変になりますが、保存料や添加物を入れるのであればPOW BARが作る必要はないと思うので、企業理念としてもっとも重要な部分だと考えています。
原材料選びに関しても、オーガニックか、そうではないかという点は、お客様からも多い質問です。判断基準は、販売価格にどう反映されるかを考えています。すべてをオーガニック食材にした場合、どうしても販売価格は高くなってしまいますが、1本600〜700円になると気軽に購入できないと思います。原材料費として、オーガニックも、そうでないタイプも同じ価格だったらオーガニックを、あまりにも価格に差がある場合は、オーガニックではないけど自然な形で栽培されたものを選ぶようにしています。
プロテインをエナジーバーで摂る楽しみ

すべての工程で行われる選択の積み重ねで、おいしさと価格のグッドバランスが体現できているのですね。
今回、ヘンププロテインを取り入れた『プロテインブラウニー』が誕生しましたが、開発過程で難しかった、逆にすごく楽しかったなど、印象に残っていることを教えてください。

難しかったのは、数値的にプロテインを高く保ったうえで、おいしく仕上げることです。私自身も味は妥協したくないですし、POW BARの「美味しい」は企業のバリューでもあります。添加物を避けつつ、おいしくナチュラルにプロテインを取りたい人たちに届けたいという想いもあったので試行錯誤しましたが、功を奏して今までとは違う食感のエナジーバーに仕上がりました。
そのままでもカカオニブのカリカリさを楽しんでいただけるのですが、冷凍庫で保存してアイスクッキーのような食べ方もおすすめです。

アイスエナジーバー!新しいですね。

エナジーバーと言うプロダクトは、アスリートや運動している人向けのイメージがあると思うのですが、今回リリースしたプロテインバーも、おやつ感覚でいろんな方に食べていただきたいです。

最近は美容の側面からもタンパク質が重要だと広まっているので、HEMPSとしてもプロテイン入りのエナジーバーという選択肢が増えることは嬉しいです。しかも、ゆで卵1個分以上、納豆1パック以上の1本あたり6.8gのタンパク質が摂取できるのはすごいです!

6.8gという数字はギリギリを追求しました。プロテインを摂取することを考えると、エナジーバーよりも効率がいい方法があると思います。そのうえでエナジーバーとして取り入れる楽しみを考えた時に、味や食感などとのバランスを考えながら辿り着いたのが、6.8gでした。
その数値はゆで卵1個分以上、納豆1パック以上にあたるのですね。POW BARのお客様にも伝えていきます!

タンパク質量が高いこともポイントですが、エナジーバーとしてのおいしさがなによりの魅力だと思います。

やはり、食べえるうえでおいしいと感じることは重要だと思っています。身体によくてもおいしくなければ継続できないですし、継続できないとあまり意味がないと考えているので、ナチュラル・テイスト・プラントベース・サステナビリティ・コミュニティというPOW BARが大切にしている5つの価値のひとつにもおいしさがあります。

日本は食が豊かと言われますが、だからこそ何を食べても大丈夫と思ってしまいがちと言いますか……。何が使われているか、どんな風に作られているか知らないまま食べている場合も多いように思います。

毎日三食食べることも、当たり前になっていて、無意識に食べている感じもありますよね。だからこそ、自分の身体が欲しているか、その食品や食べ方は自分の身体に合っているかなどを考えることは大事だと考えています。 いろんな価値観があって、ライフスタイルも多様。どういう形で、どのタイミングで気づきを得るかは人それぞれだと思いますが、そのきっかけのひとつとして、エナジーバーが選択肢のひとつになること、生活の一部に溶け込ませたいというのは私たちの願いです。

PROFILE
メグミさん

POW BAR創業者・商品開発/北海道の豊かな自然に囲まれて育ち、暮らす中で「自然な食べものは、自然なエネルギーをくれる」という感覚が自然と培われる。やがて登山・スキー・サイクリングといったアウトドアスポーツがライフスタイルの中心となり、自然の中で過ごす時間が日々の原動力になり、自然と調和するようなエナジー補給があってもいいはずという想いから、POW BARを創業。
Instagram @thepowbar