【カラダ健やかHEMPS 麻炭シリーズ】 生産者ストーリー:野州麻炭製炭所 代表 大森芳紀さん

HEMPSの麻炭100%パウダーは、国産の麻炭を使用しています。生産者である栃木県の野州麻炭製炭所の大森芳紀さんにお話を伺いました。

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野州地区では昔から麻栽培が盛んだったのでしょうか?

大森さん

この辺だと380〜400年近く麻栽培が行われてきました。ただ、時代の流れとともに農家数は減り、現在は13件ほどになります。存続できている理由としては、独自の品種(トチギシロ)を持ったこともありますが、山間地なので山に囲まれている分、風の被害が少ないのが一番大きな要因です。土地がやせている点も適しているのだと思います。

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野州地区で栽培される麻はどのような用途で使われることが多いですか?

大森さん

7割は神事用(鈴雄だったり、しめ縄や玉串、お祓いの幣)がほとんどです。残り2割は、歌舞伎や能、弓弦や織物などの日本の伝統工芸ジャンル。文化財の壁の修復にも欠かせませんので、量としては少ないですが使われています。

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大森さんが麻農家になろうと思ったキッカケは?

大森さん

元々物作りが好きで、デザインを勉強し、造形の会社に就職してからは、アミューズメントパークなどで使用される特殊造形を作っていました。とても楽しかったのですが、その当時は曖昧な基準の素材も多く、データ的には安全と書いてあるけど、実際車で運んでいる途中に匂いなどで気持ち悪くなったりしました。そんな経験があり、素材のわかる物作りをやりたいと考えるようになったときに、種から材料を作っている実家が思い浮かんだのです。

麻紙でつくられたランプシェイドや麻殻のひんめり
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素材がわかる物作りをやりたいという思いから、今に至るのですね。では、麻栽培はどういったところが難しいですか?

大森さん

精麻としての用途ですと、繊維が割けないといけないので、葉も落とすことも含めて2m50くらいで収穫できるのが理想です。ただ、この3、4年は3mを超えてしまったり、去年のような梅雨が続いてしまうと伸びすぎて繊維が網目状の繊維になってしまい、そうすると神事用、弓弦には使えないため、天候には左右されてしまいます。

また、用途が多様な分、それに合わせる繊維化するプロセスが難しかったりします。昔は麻専門の問屋さんがあって用途に応じて問屋さんが選り分けしていましたが、現在は問屋さんもないため、自分たちでニーズをリサーチし、用途にあわせて線維化し出荷することを考えないといけません。収穫からお客様の手元に届くまでのプロセスが一番難しいかもしれません。

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農薬や肥料は使っていますか?

大森さん

農薬や除草剤は使っていません。うちで栽培している麻には、神事での用途が多いため、必要な丈を育てるのために必要な肥料は使っています。

Cafeギャラリー納屋 ※現在は予約制
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麻炭を作ろうと思ったキッカケを教えてください。

大森さん

栃木県の別の場所で炭を作っていた方がいて、高齢で引退するからと、僕に後継の話がきたことがきっかけになります。竹炭に比べると、硬度は指で潰れるくらいで柔らかく、電子顕微鏡で見ると、構造的にも穴が多く開いていて多孔質。人間にとっても役立つ構造なのではと感じて魅了されました。

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麻炭はどこの部分を使うのでしょうか?

大森さん

主に茎の部分(おがら)を使用します。台風などで麻が栽培中に曲がってしまうと、曲がったおがらは使用用途が限られてしまうため、麻農家としても麻炭として利用できることはありがたいです。捨てることがない植物として再利用できるのが麻炭の良さでもあります。

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麻炭はどのように作られるのでしょうか?

大森さん

まず、おがらを焼きます。そして粉砕して、半日ほどかけて2度焼きし、さらに微粉砕した後、メッシュを通して完成です。

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麻炭はどんな用途で使うお客さんが多いですか?

大森さん

パンとかクッキーなど、お菓子とか作る方、スムージーに混ぜる方も多いです。ペットボトルに水と麻炭を入れて飲まれる方もいますよ。大体1日小さじ1/3を目安に皆さん使われてますね。

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最後に、麻炭を作る思いを教えてください。

大森さん

麻炭には、感謝しかないです。麻は捨てるところがなく無駄がない植物と言われていますが、現実は麻炭を作ることで循環性が生まれたと実感しています。そして、麻炭はただ焼いただけでなく、機能性もあり、日常でも取り入れやすいという利点もあります。麻の魅力をもっと日本のみなさんに身近に感じていただきたいです。

「収穫中はヘンププロテインをスタッフ全員で必ず食べています」と大森さん

代表 大森芳紀さん
栃木県鹿沼市(旧粟野町)生まれ。作新学院美術デザイン卒業し、(株)蔵本環境美術入社。2000年から実家の大麻農家に就農し、農閑期には麻を使った紙を作るため、麻紙漉きの修行に出る。浮浪雲工房金差人に師事。翌年末より、「野州麻紙工房」を開き、創作活動を始める。2006年に「Cafeギャラリー納屋」をオープンし、2014年には「野州麻炭製炭所」を設立。

※大森さんのインタビューは infinity ジャーナル vol.4に掲載

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