ヘンプとマリファナとカンナビス。ことばを整理する。

ヘンプとマリファナとカンナビスって違うの?

前回、「麻(アサ)とヘンプと大麻」のことばの概念や意味を整理してみました。
今回は、「ヘンプとマリファナとカンナビス」という言葉の定義についてご紹介したいと思います。

大麻と聞くと、ヘンプよりもマリファナを先に連想される方が多いと思いますが、是非、知っていただきたい共通点と相違点も簡単にご説明させていただきます。

カンナビス(Cannabis)・・・植物分類上の大麻の英名です。ヘンプもマリファナもカンナビス=大麻に含まれる言葉です。

マリファナ(Marijuana)・・・マリファナは、大麻の最も一般的な俗語です。カンナビス(大麻)のなかでも、特に気分を変えたり楽しんだりするために喫煙・消費される大麻を指します。アメリカのメキシコ系移民の使う大麻を表すスペイン語「marihuana」が語源とされています。一般的に、マリファナはTHCという成分を豊富に含み、主に陶酔作用のある大麻を指すことが多いです。医療大麻(Medical marijuana)、嗜好大麻(Recitational Marijuana)のいずれも、THCを含むものを指すことが多いです。

ヘンプ(Hemp)・・・ヨーロッパでは、主に繊維や種子を利用するための大麻がヘンプと呼ばれてきていました。国・言語により発音は多少異なりますが、英語:Hemp、ドイツ語:Hanf、オランダ語:Hennepと呼ばれています。現在では、大麻の中でも、THCという成分をほとんど含まない=陶酔作用のない大麻品種が、「産業用ヘンプ(Industrial Hemp)」と定義される事が多く、産業用ヘンプとして認められた大麻は「農作物」として栽培できるよう法整備している国が増えています。そのため、ヘンプは法律上の区分けとしての言葉の意味合いが強い言葉となっています。

マリファナもヘンプも呼び方や形質・含まれている成分は違えど、同じ種の植物です。

産業用ヘンプ(産業用大麻) 世界と日本の定義の違い

それでは、更にヘンプという言葉を深堀りして行きたいと思います。

「産業用ヘンプの定義」は、各国の法律や規制によって若干異なります。各国でTHCの含有量の基準値を設定しており、例えばヨーロッパはTHC0.2%以下、アメリカ・カナダではTHC0.3%以下、スイス・タイではTHC1%未満をヘンプとして定義しています。(2020年11月現在)ヘンプとして定義されている大麻品種は、その国では農作物として栽培・流通させることが可能です。

いわゆる「マリファナ」として使われるような大麻品種(THC成分をたくさん含み陶酔作用がある)はTHCが10%~20%程度含まれていますが、一方の「ヘンプ」はTHCをほとんど含まず、薬物として乱用される心配や危険性が無いため、通常の農作物として扱われています。特に北米・ヨーロッパでは、ヘンプに関する法整備がここ30年ほどで徐々にすすみ、産業用ヘンプの有効活用が広がってきています。

翻って日本では、法律上の「産業用ヘンプ」の定義は現時点では存在しません。日本の法律ではTHCの含有量での大麻のヘンプとマリファナの区別は行っておりません。そのため、THCを含まないヘンプであっても、自由に栽培することはできません。大麻取締法という法律の元、日本ではかなり厳しい免許制度を採用しており、栽培するには都道府県の知事の認可を得る必要があります。1年更新の免許制度です。実質的には新規の栽培免許はほとんど降りないのが現状となっているようです。

(海外では誰でも自由に栽培できるように聞こえますが、国によってはヘンプの栽培ごとに成分検査が行われ、THCが基準値以上検出される場合はすべてを破棄しなければならない場合もあります。農業従事者からすると、なかなか厳しいですよね。)

古くは日本中で栽培されていた大麻

国内では、栃木県は現在でも伝統産業向けの大麻栽培(主に精麻という繊維を生産するための大麻栽培)が残っている地域ですが、その栃木で栽培されている「トチギシロ」という品種は、THC含有量は0.2%以下となっており、世界での産業用ヘンプ基準に適合しています。(陶酔作用がない品種なので、マリファナのような使い方はできない大麻です。)

なお、昭和には日本全国で3万人以上いた大麻農家さんは、大麻需要の低下や大麻栽培社免許の維持の手間などもあり、現在では30名程度しか大麻栽培を行っていないようです。

現在、ヘンプ食品やCBD製品は徐々に一般に浸透してきていますが、その原料のほとんどが輸入に頼らざるを得ず、またせっかくトチギシロというヘンプ品種を保有しているというのに、非常にもったいない状況が続いています。

HEMPSを通してヘンプをより多くの皆様に知っていただくこと、またヘンプの需要を伸ばすことで、弊社として何か寄与できることがないか、と常々考えています。

以上、「ヘンプとマリファナとカンナビス」の言葉を整理してみました。次回もヘンプにまつわる情報を整理していきたいと思います。

※最後に大事なことなので改めて強調しておきますが、日本の大麻農家さんが栽培している大麻は、THCがほぼ含まれず、産業用ヘンプの基準を満たしている大麻品種です。喫煙をしたところでマリファナのような陶酔作用を感じることはできません。400年以上も大麻栽培を継承している農家さんも存在し、農家さんにとっても、日本の伝統産業においても、とても大切な農作物なのです。また、HEMPSで取り扱っている麻炭はこのトチギシロを使用しています。麻炭の原料であるオガラ(木質部)はTHCは含まれておりませんのでご安心ください。

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