1月 7日 サティバ・インディカ・ルデラリス。ことばを整理する
前回、「ヘンプとマリファナとカンナビス」という言葉をざっくりと整理しました。
今回は、少しディープな内容になりますが、ヘンプ・マリファナ・カンナビスについて調べると必ず出てくる「サティバ・インディカ・ルデラリス」という言葉について整理してみたいと思います。
一般的な認識としての「サティバ・インディカ・ルデラリス」
いずれも、大麻=カンナビス(Cannabis Sativa L.)を更に細かく分けた分類と呼称です。主に、茎と葉の形態に基づいて名付けられています。Lはリンネという植物分類学の有名な学者の名前の頭文字から取られています。
サティバ・・・一般的に、茎の背丈が高く、葉の幅が狭いものがサティバと呼ばれています。東アジアやヨーロッパで育てられてきたような大麻の特徴を有します。
インディカ・・・一般的に背丈が低く、葉の幅が広いものがインディカと呼ばれています。インドやパキスタンあたりで発生したと考えられています。
ルデラリス・・・背丈が低く、枝分かれも少ないものがルデラリスと呼ばれています。開花に「日照時間の変化」が必須要素ではない、自動開花する特徴を有するとされています。
と簡単に説明させていただきましたが、実は、上記分類は「俗称」のようなものだったりします。なぜ「俗称と」お伝えしているのか、大麻の分類の歴史や、俗称としての現在の使われ方、またそれぞれの交配についてもう少し詳しく見ていきましょう。
大麻の分類の歴史
大麻の分類についての歴史を簡単にまとめますと、1753年に前述のリンネさんが大麻をCannabis sativaの一種と設定しました。ヨーロッパで見られる大麻について分類・命名したようです。1785年にラマルクさんという方が、インドの大麻はヨーロッパの大麻と枝や葉っぱの形質が違うため、新種と判断し、Cannabis indica Lam と名付けました。(これが今日まで続くインディカの名称の元になっています。)その後、1976年にスモールさんとクロンキストさんは、大麻はCannabis sativa を単一の種とし、インディカやルデラリスは亜種や品種である(分類はTHCの濃度に基づく)という判断を下しています。他の学者さんでは、サティバ、インディカ、ルデラリス、アフガニカ4つの亜種に分かれるとする人もいます。
医療大麻の現場では、、、
また、現在「サティバ・インディカ・ルデラリス」は、嗜好・医療大麻の業界において、大麻の作用を表すワードとして使われることが多い言葉です。サティバはエネルギッシュな感じで、インディカは鎮静作用が強いといった認識で、医療大麻の商品説明などに使われることが多いようです。
医療大麻が一部の国で認められるなど時代が進むにつれ、科学的には、THCやCBDなどカンナビノイドの含有量、各種テルペン(香り成分)の配合量が医療大麻の作用を左右するものであり、サティバやインディカなどといった分類は、あまり意味をなさないのではないかという考えが現時点では優勢です。
産業用ヘンプはサティバ?インディカ?ルデラリス?
弊社はヘンプシード製品を主に扱っておりますが、ヘンプ(産業用ヘンプ)の定義は「THCの含有量に基準値を設け、その基準値以下であることを満たす大麻」となります。
つまり、ヘンプという言葉は法律上の区分けに使用される意味合いが非常に強い名称です。
そのため、産業用ヘンプの中でも、いわゆるサティバに当てはまるような背丈が高く、繊維用途に栽培されるものがあれば、ルデラリスのように枝葉が少なく、背丈が低く、種子をたっぷり実らすヘンプもあり、また、インディカのような見た目ではあるけれども、THCを全く生産しないのにCBDは豊富なヘンプなど、多種多様なヘンプ品種が存在しています。いずれも、見た目は様々ですが、THCが各国の既定値以下の品種は産業用ヘンプとして分類されるのです。
要するに「サティバ・インディカ・ルデラリス」って?
ヘンプ(繊維向け、種子向け、CBD向け)、医療大麻など、それぞれの収穫物・目的や気候などの育成環境に合わせるために、「サティバ・インディカ・ルデラリス」とされるそれぞれは、何度も交雑を重ね、世界中で品種改良が行われています。
端的にまとめると、これらの俗称は厳密な定義に基づいて使用されているわけではありません。
また、分類も歴史的にも流動的となっており、「サティバ・インディカ・ルデラリス」はあくまで俗語として知っておく程度で差し支えないものと思います。